Trifling Note

Imagination means nothing without doing.

それなら、本能に訴えかければ良いと思ったんです

仕事でいろいろ企画をする時に、「本当にそれで人は動くのか」というのはいつも問われる問題なわけで、そんなことに頭を悩まされていたら、この本に巡り合いました。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

内容を簡単に説明すると、

  • 人は思考の省エネ化のために、無意識のうちに決まったパターンの反応をすることがある。
  • そんな無意識の反応にはどんなものがあるか、学問的に6つのカテゴリーに体系化。
  • さらに、今までビジネスなどで、その反応がどう利用されてきたかを事例を交えて紹介。

 という内容になっています。

「じゃあ、そんな反応をどんな風にカテゴライズしてるんすか!?」というのが以下の6つです。

6つのカテゴリー

  1. 返報性

    「誰かに何かをしてもらうと、お返ししたくなる」という性質。

  2. コミットメントと一貫性

    「自分の言葉や態度には一貫性を持ちたい」という性質。

  3. 社会的証明

    「大多数の人が取る行動を、正しい行動だと判断する」という性質。

  4. 好意

    「自分が好意や親近感を寄せている人には、貢献したくなる」という性質。

  5. 権威

    「権威がある人の言うことは、ついつい信用してしまう」という性質。

  6. 希少性

    「希少性があるものに魅力を感じてしまう」という性質。

実際に読んでみて

「実際の事例など、詳細は書籍で!」ということにして、読んでみて思ったのは、

「新発見があるというわけではないけど、自分の経験や、一般論が体系立てて整理されているのがわかりやすい」

ということでしょうか。

「人間にはそんな本能があるの!?」というような驚きはないにせよ(驚くような事例なら数多く含まれています)、まとまっているので非常にわかりやすいです。

ちなみに、この前駅でいかにも困っていそうな外人に「スイマセン!」と、話しかけられ、何かを渡されたので、地図かと思ってつい受け取ったら、アフリカの子供の写真で、「恵マレナイ子供タチニ、募金オ願イシマス」と言われ、急いでいた私はつい、お金を払ってしまったということがありました。これはこの本でいう「コミットメントと一貫性」あたりに分類できるんじゃないでしょうか。

  1. 「困ってそうだな、助けなきゃ」という心理の状態で話しかけられる
  2. 写真を受け取ってしまう

というがポイントで、「助けよう」というモードで接してしまうから、文脈が想定外でも、「助けるスタンスで臨んでしまったからには助けないと」という心理が少なからず働いてしまったように感じます。

また、写真をあえて一度手渡すというのも、「受け取ってしまった手前」という返報性に近い心理を突いてますよね。

あぁ、ちくせう。完全に乗せられました。何より悔しいのはこの本を読んだ後だったにもかかわらず、引っかかってしまったということです。なんて愚かな僕。

ちなみにこの本は、人を操る本ではなく、(少なくとも建前上は)自らを防衛するという趣旨の本になっていますので、皆様も「人を操るやましい気満々で読んだがために、自己防衛に失敗した」なんてことがないように、くれぐれもお気をつけください。